NU ism
NUism column vol.1
渡辺平日さんがめぐるNU
2021.7.30

はじめまして。渡辺平日といいます。僕は日用品愛好家として、あるときは老舗の金物店で、またあるときは最新の商業施設で、日々、「いいもの」を探し求めています。



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渡辺平日(わたなべへいじつ)日用品愛好家。雑貨やインテリアのレビュー、カフェやホテルの取材、プロダクトの開発など、多方面で活躍している。現在、「LaLa Begin」「北欧、暮らしの道具店」などでエッセーを連載中。

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渡辺平日(わたなべへいじつ)日用品愛好家。雑貨やインテリアのレビュー、カフェやホテルの取材、プロダクトの開発など、多方面で活躍している。現在、「LaLa Begin」「北欧、暮らしの道具店」などでエッセーを連載中。

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「夏のお土産」を見つけよう

この日に訪れたのは、阪急大阪梅田駅からほど近くにあるNU(ヌー)。NU茶屋町とNU茶屋町+という、ふたつのビルからなる商業施設です。今回は夏のお土産をテーマに、NU茶屋町をめぐり、気になるアイテムを探すことにしました。


――とはいえ、「日用品」で「夏のお土産」といっても、すぐにはピンとこないですよね。でも、いい出会いがある気がするので、いつものように足を使って探すとしましょう。










読者の皆様へ

新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、取材前の検温や体調チェック、取材時のマスク着用や手指消毒などを徹底しました。そのほか、打ち合わせをオンラインで開催し、お客様が少ない時間帯に取材を実施するなど、感染症拡大防止に努めています。

リノベのプロが手掛けたセレクトショップ――SIMPLE HOUSE

hjt_simplehouse01.jpg ラグ類の品揃えの豊富さも特徴のひとつ。この日は「トライバルラグ」のフェアが行われていました。/photo:渡辺平日(以下同様)

最初に訪れたのは、インテリア&リノベーションストアのSIMPLE HOUSE。リノベーション会社が運営するセレクトショップで、家具やインテリアはもちろん、細かいパーツ類も充実しているそうです。「マニアックなものがありそうだな」と考え、覗いてみることにしました。



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お店を紹介してくれたのは、ストアコーディネーターの久根本(くねもと)さん。今日はよろしくお願いします。



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予想どおり、照明やパーツ類の品揃えは二重丸。〈ARTWORKSTUDIO〉や〈DULTON〉、〈a.depeche〉など、定番メーカーや人気ブランドのアイテムが多数販売されています。



hjt_simplehouse05.jpg 個人的に「おっ」と思ったのは、6個並んだ照明の一番手前にある銀色の電球。こちらは「シルバーミラー」と呼ばれる特殊な電球で、光が前面に広がらないという特徴があります。これはけっこうマニアックですよ。


SIMPLE HOUSEのこだわり

ついつい細かいものばかり見てしまってすみません。言うまでもないようなことですが、生活の基本となる家具やインテリアもしっかりと揃っています。



hjt_simplehouse_syu_01.jpg 北欧製のものを中心に、様々なテイストのプロダクトが勢揃い。リノベーションのアイデアが膨らみそうです。
hjt_simplehouse06.jpg 「もっともSIMPLE HOUSEらしさが出ているアイテムが、この『KAKERAシリーズ』です」と久根本さん。「リノベーションの過程で生じる端材(木材やタイルなど)をリユースし、個性的な家具に生まれ変わらせました」
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いいなと思ったのが、家具やインテリアだけではなく、グリーンやフレグランスもしっかり取り扱っているところ。自分用にはもちろん、新築や引っ越しのお祝いを探すときにも重宝しそうです。

久根本さんによれば、「テレワークの普及と比例するように、グリーンとフレグランスの売上が伸びている」とのこと。「植物を取り入れたり、ディフューザーを置いたりして、気分転換しているのかもしれません」と推察されていました。自分も在宅勤務者だから、その気持ち、よく分かるなあ……。




渡辺平日のピックアップアイテム

hjt_simplehouse09.jpg ▲Belmonte/¥10,780

今回ピックアップしたのは、照明・時計メーカー〈インターフォルム〉のウォールクロック。一般的に、こういう「八角形の時計」は、和のテイストのものが多いんですよね(実家の時計を思い出す人も多いかもしれません)。

それはそれで趣深いものなのですが……。一方、このプロダクトは、フォルムやカラーリングを工夫することで、都会的なイメージに仕上げています。飾る場所を選びませんが、特にモダンな部屋やインダストリアルな部屋とは相性抜群。あとはそうですね、書斎や応接間のような、シックにまとめたい空間にもよくなじむと思います。




今回、購入したお土産

hjt_simplehouse_syu_02.jpg ▲カンフルツリーハンギングクローゼット/¥1,320

夏になると虫が気になる……。というわけで〈RESTFOLK〉のカンフルツリーハンギングクローゼットを購入。「虫除けの木」とも呼ばれる楠(くすのき)を加工したアイテムで、ハンギングしておくだけで防虫効果が期待できます。化学成分を使っていないので、出産のお祝いにもおすすめですよ(おくるみなどと一緒に贈るといいかもしれません)。




久根本さんからのメッセージ

リノベーションの設計からインテリアのコーディネートまで、ワンストップで提案できるのが、SIMPLE HOUSEの強みです。専用カウンターでお話を伺うことも可能ですので、お気軽にご相談ください。

ただ、すべてのお客様がリノベーションを検討したり、インテリアを探しているわけではないですよね。そういうお客様にもお買い物を楽しんでいただけるよう、あちこちに工夫を凝らしました。お越しになった際は、ご友人へのプレゼントを探したり、気分転換のためのアイテムを見つけたりと、とにかく自由にショッピングを堪能してほしいです。





感性が研ぎ澄まされていく眼鏡店――白山眼鏡店

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次に紹介するのは白山眼鏡店(はくさんがんきょうてん)。ルーツを辿れば140年近い歴史を持つ老舗眼鏡店で、技術力とデザイン性の高さは折り紙付き 。多くの文化人や著名人からも支持されている名店です。



hjt_hakusan02.jpg 取り扱う眼鏡の種類は非常に豊富で、バリエーションは約580。さらにそのすべてがオリジナルというのには驚きました。
hjt_hakusan03.jpg 「買い物」という体験をよりよいものにするため、机や棚にもこだわっているそう。ショッピングの際には、タイルやヴィンテージウッドなどを再利用した什器にも注目を。


白山眼鏡店のこだわり

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「渡辺さん。まずはお店を見渡してみて、『これだ!』と思う眼鏡を見つけてみませんか?」

――お店を案内してくれたのはスタッフの小原さん。プロの意見を聞こうと思い、「僕には、どんな眼鏡が似合うと思いますか?」と尋ねたところ、このようなアドバイスをいただきました。

「『似合う』とか『似合わない』という判断は、あくまでも個人的な感覚によるものですよね。たとえばお客様がある眼鏡を掛けられたとき、それぞれのスタッフで感覚が違いますから、当然ながら意見も異なってきます。ですから、まずは自分の感性で、自由にお選びいただければと思います」



hjt_hakusan05.jpg 「眼鏡を選ばれるのはお客様自身で、あくまでも私たちはそのお手伝い役です」と語る小原さん。常にお客様に寄り添うような接客を大切にしているそうです。

正直なところ、このアドバイスにはすこし驚きました。というのも、眼鏡という道具は、骨格や髪型などに合わせて選ぶものだと考えていたからです。でも、もしかしたらそれって、「思い込み」だったのかもしれません。



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そんなわけで、自分の感性を頼りに眼鏡を探してみたのですが、これがすっごくおもしろくて……。普段だったら手に取らないであろう眼鏡に目が行ったりして、自分の興味が広がっていくのを感じました。




渡辺メモ

僕みたいに視力が悪いと、度が入っていない状態の眼鏡を掛けても、似合っているかどうか分からないんですよね。なのでこれまでは友人や店員さんに助けてもらってきたんだけど、これからは自分の「目」で探してみようと思います。




渡辺平日のピックアップアイテム

hjt_hakusan07.jpg ▲SPM ROUND CABLE(GP)/¥49,500(フレームのみの価格)

今回、特に気になったのがこの一本。テンプル(つる)の形が特徴的で、その佇まいからはどこか懐かしいものを感じます。



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小原さんによると、「このシリーズはクラシックをテーマにしている」とのこと。「縄手」と呼ばれる特殊なテンプルや、「サンプラチナ」という現在ではあまり使用されていない素材を採用し、昔ながらのスタイルを再現しているそうです。



hjt_hakusan09.jpg 「着用時にコツが要りますが、それもまた、愛着が増す理由になります」と語る小原さん。その気持ち、めちゃくちゃ分かります。「手のかかる子ほどかわいい」と言いますしね……。

かなりユニークな眼鏡ですが、着用すると、これがいい意味でシンプルな印象に。眼鏡を外した時にはじめて「個性」が分かるというのは、なかなか粋だなと思いました。




今回、購入したお土産

hjt_hakusan10.jpg ▲スナップケース/¥4,950

いい眼鏡がたくさんあってどうしよう……と悩んでいた時に見つけたのがこのケース。そういえば、サコッシュに入るような、コンパクトな眼鏡ケースを探していたんだった。



hjt_hakusan11.jpg 胸ポケットに入るサイズ感で、しかも丈夫な眼鏡ケースって、けっこう貴重だと思います。デザインも素敵だし、ほんとうにいい買い物でした。今年は無理だろうけど、主に夏のレジャーやアウトドアで活躍してもらう予定です。

「軽くて頑丈なピッグレザーを使ったアイテムで、経年変化も楽しめますよ」という小原さんの一言に背中を押され、このケースを購入することに。――それにしても、こういうふうに買い物を楽しむのって、ずいぶん久しぶりな感じがします。





小原さんからのメッセージ

「自分の好きな眼鏡を、自由に掛けていただくのが一番」。これが私たちのモットーで、お客様の感性を大切にした接客を心掛けています。もちろん、お悩みの際は、いつでも気軽にご相談くださいね。





「最強タッグ」を楽しめる専門店――チーズと生はちみつ BeNe

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次に向かったのは、チーズと生はちみつ BeNe。なにを隠そう、僕はチーズもはちみつも大好きなので、取材前からこのお店が気になって仕方がありませんでした。ただ、近頃は暑いので、要冷蔵のチーズを持って帰るのは難しい……。というわけで今回は、はちみつをチェックすることにしました。



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商品を紹介してくれたのは店長の平田さん。「はちみつ美容ソムリエ」という資格を所有する実力者で、なんとも頼りがいがあります。




渡辺メモ

もともとは「チーズ&グリル」というチーズ専門店で、その頃は、はちみつには特にこだわってなかったそう。――そんなある日、「チーズとはちみつって、めっちゃ合う」という発見があり、以来、はちみつにも凝りはじめ、現在のようなコンセプトになったのだとか。




hjt_bene03.jpg ▲ハチの巣みたいなチーズケーキと国産サクラはちみつ/¥748(ケーキのみの価格)

はちみつを紹介してもらう前に、せっかくなので、おすすめのメニューを教えてもらいました。平田さんのお気に入りはこちらのチーズケーキ。ケーキのベースには、癖のないオーストラリア産のチーズを使用し、さっぱりとした味わいに。そこに濃厚な味わいのサクラのはちみつを掛け、両者の風味を引き立てたそうです。



hjt_bene04.jpg ▲バスクチーズケーキと国産リンゴ生はちみつ/¥748(ケーキのみの価格)

次におすすめしてもらったのがこちらのメニュー。さっぱりとした食感のバスクチーズケーキに、爽やかな甘味が特徴のリンゴのはちみつを回し掛けし、さらに季節に合わせたアイスをトッピング。奥行きのある味わいを楽しめるそうです。




渡辺メモ

お話を聞いている時、何度も「食材への愛がすごい」と感じました。特に胸に響いたのは「チーズとはちみつは、だれが食べても『おいしい』と笑顔になるほど、相性がいい食材。まさに最強タッグです」という言葉。

僕にとっての日用品がそうであるように、平田さんにとって「チーズとはちみつ」は、一生追求していけるものなのかもしれません。




今回、購入したお土産

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「はちみつだけの購入も大歓迎です。気軽に立ち寄ってくださいね」と平田さん。量もちょうどいいし、ちょっとした手土産によさそうですね。



hjt_bene06.jpg ▲北海道産 百花蜜の生はちみつ/¥990

今回は「百花蜜の生はちみつ」を購入しました。平田さん曰く、「ハーブのような爽やかな味わいのはちみつ」とのこと。様々な種類の蜜が混ざり合っており、収穫年によって味わいが大きく変化するそうです。うーん、まるでワインのように奥が深いですね。



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帰宅後、ホットミルクに入れて飲んでみましたが、ほんとうにおいしくて癒やされました。あとは最近、生姜湯に凝っていまして、それに入れても非常においしかったです。夏バテ気味の方は「はちみつ生姜湯」をぜひ試してみてください。たまった疲れも吹っ飛びますよ。




平田さんからのメッセージ

良質なチーズやはちみつは非常に高価ですので、口にする機会ってあまりないですよね。そこで私たちは、「なんとかこの食材の素晴らしさを伝えたい」と考え、ランチタイムにはチーズとはちみつの食べ放題を実施しています。

好みの味のチーズやはちみつを探したり、好きな組み合わせを研究したりと、自由に楽しんでいただければ幸いです。





ストーリーがはじまる花屋――bois de gui et

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最後に訪れたのは、花屋のbois de gui et(ボワ ドゥギ エ)。北浜にあるbois de guiのリミテッドショップで、本店と世界観を共有しつつ、異なるコンセプトを楽しめるようになっています。



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「系列店と比べると、この店舗には、若いお客様が多くお見えになるんですよ」と教えてくれたのは、フローリストの石井さん。お花を身近に感じていただけるように、いろいろと工夫をしているそうです。



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生花以外のアイテムを豊富に取り揃えているのも工夫のひとつ。花瓶やドライフラワー、アクセサリーなど、いろいろなアイテムを用意することで、気軽に立ち寄れる「空気感」を生み出しているそうです。



hjt_bois05.jpg アクセサリーが充実しているのもこの店舗の特徴。「常に自然を感じてほしい」という思いから、植物をモチーフにしたアイテムを中心にセレクトしているとのこと。
hjt_bois06.jpg ディスプレイなどからもこだわりを感じました。特に素敵だと思ったのが、このプライスの表記方法。マルシェでお買い物をしているような気分を味わえます。


渡辺メモ

2020年の2月にオープンしたbois de gui et。もともとは期間限定の店舗となる予定でした。しかし、コロナウイルス感染症の影響などもあって、思うように運営できなかったそうです。「それで、逆に、奮起しました」と石井さん。「もうちょっと、この場所でがんばるつもりです」と心中を打ち明けてくれました。





渡辺平日のピックアップアイテム

hjt_bois07.jpg ▲花鋏/¥6,600

200年以上の歴史を持つ〈國重刃物店〉の花鋏に、お店のロゴを入れたコラボアイテム。流行に影響されることなく、ひたすらに「機能」を追求したその姿には、日用品の原点を感じずにはいられません。

非常に気になったのですが、すでにほかの老舗メーカーの花鋏を所有しており、まだ数十年は持ちそうなので購入は断念……。




今回、購入したお土産

花鋏を名残惜しそうに眺めている時、「そうだ。お世話になっているクライアントさんにお花を渡そう」と思いつき、フラワーアレンジメントを依頼することに。

石井さんに「全体的に落ち着いた印象で、それでいて、季節を感じられるような仕上がりでお願いします」とオーダー。いったいどんな仕上がりになるのでしょうか。



hjt_bois08.jpg ほとんど迷いなく生花を組み合わせ、ブーケをつくっていきます。その様子を見て「まるで詩人が言葉を紡いでいるみたいだ」と思いました。
hjt_bois09.jpg ▲ブーケ/予算は要相談

ほどなくしてブーケが完成。ごく当たり前の感想で申し訳ないのですが……イメージ以上の仕上がりで、「プロフェッショナルってすごいな」と感動しました。贈る相手にもきっと喜んでもらえることでしょう。



hjt_bois10.jpg ▲レザーポットカバー/¥7,700

ブーケとは別に、自分用にレザーポットカバーをセレクト。本来は植木鉢を入れ込んで、天井から吊り下げるための道具ですが、ブーケやドライフラワーを持ち運ぶのにもよさそうだったので購入しました。




渡辺メモ

石井さんに「どんなことを考えながらアレンジメントをされていますか?」と尋ねたところ、「このお花たちがこれからどういう物語を生み出すんだろうとか、そういうことを考えてますね」という素敵な回答が……。また機会があれば石井さんにアレンジメントを頼みたいです。




石井さんからのメッセージ

生花ってどこか「難しい」というイメージがありますよね。私はこの仕事を通して、お花をもっと身近な存在にしたいと考えています。――花束をオーダーするときは、ほんとうに気兼ねなく、思ったままに頼んでください。



取材を終えて

防虫効果のあるアイテム。持ち運びに便利な眼鏡ケース。栄養満点のはちみつ。そして、夏そのものを表現したかのようなブーケ。うん。我ながら、素敵な夏のお土産を見つけられたと思います。

ところで、原稿を読み直している時、あることに気がつきました。それは、各々でニュアンスは微妙に違いますが、「自由にお買い物を楽しんでほしい」という願いが、言葉の端々に込められていることです。



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「そうそう。実店舗の『醍醐味』って、そういうところだったよね」

1年以上も続く「不自由な生活」は、そんな当たり前のことさえも、忘れさせてしまおうとしています。――この記事が、ショッピングの楽しさや自由さを思い出すきっかけになれば嬉しいです。そして、また気軽に外出できるようになった時に、この記事のことを思い出してもらえれば、とっても嬉しいです。

We look forward to your visit.